「愛しています、父上」

君は残酷ですよ。

私を置いて逝くくせに、そんな嘘をついて私を孤独に落としていく。

君のいない世界に私はなんの感慨も無いんですよ。

「愛しています、父上」

そして君は、私を捨てて逝く。

 

 

 

それでも私は嘘を付く君を愛す

 

 

 

燃えていく、何もかもが燃えていく。

すべて燃えていけばいい。

君のいない世界など、滅んでしまえばいい。

ああ、どうして君を閉じ込めておかなかったんだろう。

ああ、どうして君を殺してやらなかったんだろう。

その骸を愛して、愛して、愛しぬいて共に朽ちて逝けばよかった。

私の為に時間に逆らった罰のように、君は時間に連れて行かれた。

最期に君の望みを叶えよう。

私を置いていったあなたを憎み、そして私自身が狂う前に果て逝こう。

「私の華、いつまでも愛してますよ」

崩れ落ちる館。

崩れ落ちていく自身。

すべて、すべて灰となって消えて逝け。

ああ、でも最期まで私は君の泣き顔しか思い出せない。

 

 

 

 

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