ゆっくりゆったり

 







禁忌の森に立ち入るものは少ない

そして、その奥に立ち入るものはもっと少ない

しかし、少ないといっても0ではない

その証拠に今日も誰かがいる・・・・・・・・・





































シカマルはゆったりと獣道を歩いている

もう少し歩くと川があり、きっと今日も誰かいるだろうと思いながら

晴れ渡った空の色はこの森には届かない

暗い森の中を歩くには普通だったら明かりが必要なのかもしれないが、見習いとはいえ忍者のはしくれたる彼には必要なかった

そのまましばらく歩くと前のほうに出口が見えてくる

シカマルは少しだけ歩調を緩めてゆっくりとその出口に向かって歩いていく

「よう」

「シカマル」

川の岸辺にいたのは金色の髪のナルト

光の中こそ似合うようなやつがなんでこんなところに?と最初はよく思ったもんだが

何回かここであううちに暗い森の中にいるナルトのほうがしっくり来るようになった

この森で会うナルトはおとなしく、いつもとはまったく違う

いつだったかめんどくーけど聞いたことがあった

「なんでここにくんだ?」と

それにナルトは「ここは、怖くないってばよ」と小さく答えただけだった

変なやつ、そのときはそう思ったけど、いまなら理解できる

里の大人はナルトにつらく当たる

上忍とかはそうではない人もいるが

まったく、おとなってのはめんどくせーな・・・・・・・

「今日はあいつは来てないのか?」

「シノ?今日は来てないってばよ?」

シノってのはナルトの恋人だ

よくそんな面倒くさいもの作るな、と感心する

しかも男同士・・・・シノの家は旧家で里でも結構有名だ

苦労すんじゃねぇか?

まぁ、めんどくせーからそれ以上知らないけど

でも、おれが見た限りではこいつらこの森以外では付き合いは薄いよな

恋人じゃないってどころかほとんど他人だ・・・・

なんどかその演技力に感心した

まぁ、そうでないといろいろと大変なんだろう

「シノは、いっつもくるわけじゃないから」

俺はそこの言葉に首をひねる

俺がここに来たときは絶対といっていいほどシノがいる

最初からいたり、後から来たりと来る時間はまちまちだが・・・

・・・・・・・・・ああ、そういうことか

納得する

(俺が来るとシノは来る)

つまりそれは、俺とナルトが二人っきりになるのがいやだから

シノなら虫を使ってナルトの様子を見ることなど簡単だろう

「俺をいつも見てる」

俺の考えが見えたように言うナルト

こいつには時々こんなところがある

「いっつも・・・ね」

ノロケだ・・・と思ったがナルトの表情は暗い

「そう・・・・・・・・・・・いつも誰かが俺を見てる」

「?」

「だから、俺はここに来る」

「どうして?」

「ここでは俺は見られないから」

「俺がいるだろう?」

「ああ・・・・そういうんじゃないんだってばよ」

「ここは禁忌の森だからいかなるものも森の闇に阻まれて覗き込むことはできない」

「シノ・・・・・いきなり人の背後に立つなよ」

いきなり現れたシノに心臓がバクバク言う

「ああ、すまない」

全然反省してるようには見えなかった・・・

「で?覗き込むって?」

「それはヒミツ」

ナルトは口に人差し指を当ててにっこり笑った

「ま、めんどくせーからべつにいいけどさ」

「おれ、シカマルのそういうところ、好きだってばよ」

「あーそうか、そりゃどうも」

どうせお世辞とわかっているしここで下手に照れるとナルトの横に立っているシノにどんな目に合わされるかわかったものじゃない

「じゃあ、おれはいくぜ?」

「もうか?」

「ああ、お邪魔虫はとっとと退散スンぜ」

「そうか」

「またな」

二人に見送られてまた来た道を戻る







































「いいやつだな」

「うん」

シノに抱きしめられながらシカマルの消えた方角を見つめる

「さびしいか?」

「ううん、シノがいるからさびしくない」

「そうか」

「うん、そうだってばよ」

「ならいい」

シノは俺を見つめる

シノだけじゃなくシノのなかの蟲も・・・・・

「ずっと、見ててね」

「ああ・・・一人になんてさせないさ」

「いつか・・・・・・・」

「ああ、いつか」

(光の中でもこうして・・・・・・・・)





 

ナルトはゆっくりと目を閉じて眠りについた

シノはその横でずっとナルトを見守る

それが、天に定められたもののように・・・・・・・














END


あとがき

えっと・・・・・・・・・何が書きたかったかといいますと

「しっとり」した文章でございます

一人称中心で書くとなぜかこんな感じになってしまうのです〜

お待たせした末にこれでホントにごめんなさいです