曼珠沙華

 





紅く燃えるように咲きながらもひどく脆い「それ」

毒々しさすらあるのにどこか神聖で、怖くなって思わずなぎ払う

「それ」はひどく脆くてたやすく折れてしまう

無残に散らされた「それ」

でも簡単に折れてしまう様が面白く、手を止めることが出来ない

でも、周りに散った沢山の屍骸を見て罪の意識にさいなまれた

・・・・・・・・それでも手を止めなかったのはその罪に酔いしれていたのかもしれない

「それ」・・・・・・彼岸花は今年も赤々と咲き誇っている





























「ぐっ!・・・・がっ・・・・・・・」

口から鮮血が溢れ出す

他にも傷口から血はどんどんと流れ出していく

流石にもう駄目かと目をつぶる

九尾の力を持ってしてもこの傷の自分を生き長らえることは出来ないだろう

「はは!やったぞ!化け狐を退治したぞ!」

そういってさらに傷を与え様としている人間から必死の思いで逃れる

どうしてまだ傷つけようとするのか・・・・

恐れからなのか、それともただ屈服させたという感情に酔うためだけなのか

流れる血を止め様ともせずにただ逃げる

振り返ればその後に残るおびただしい血を見ることが出来ただろう

でも、ナルトに・・・・・今のナルトにそんなことをする力はなかった

ただ静かに眠りにつきたかったのだ

それだけだ

ただそれだけなのにそれすらも許さないのか

追っ手は更にナルトを追い詰める

「死ね〜〜!化け物!」

もう振り返ることも出来ずにナルトは崩れた

その後になにがあったのかも分からずに

もし、少しでも意識があったなら気がついたかもしれない

自分を強く抱きしめるその腕のあたたかさに
































―――かさかさ

耳に風音が響く

「・・・・・・・」

空が遠くに見える

まだ死んでいないのか?

ナルトは動かない体を動かすことを諦めて目を動かす

目に映ったのは真っ赤に燃えた花

否、燃えるように咲く花

「目がさめたのね」

耳元で声が聞こえた

そして初めて気がつく

自分がだれかに抱きしめられているということに

そして、ナルトはその声に聞き覚えがあった

「・・・・・・だ・・・・・」

「しっ・・・・・・黙って・・・・・そう、いい子ね」

腕は優しくナルトを抱きしめる

そこにはさきほどの追ってのような殺気はなかった

あるのはまるでヒナ鳥を守る母鳥のような愛情だった

(どうして?)

声の出せない口だけを動かしてたずねる

「あなたはもう死んだのよナルト君。ここは天国なの」

(天国?)

「そう、曼珠沙華がきれいでしょ?」

(マンジュシャゲ?・・・・・彼岸花だってばよ)

大蛇丸は静かに首を振る

「それは俗称、この花はね、天上の神様の花なのよ」

そういって近くにある1輪を手折る

「こんなに儚いのは神様がその脆さを愛したから。地上に咲くのこの花はね、いつも天上に、神様の元にかえりたいの。だから神様に愛されたその儚さをいつまでも持ちつづけるの」

(俺も神様のところに行ける?)

少しずつ痛みが遠のいていくのを自覚しながらたずねる

「・・・ええ、私が必ず連れていってあげるわよ」

そういってナルトを再び抱きしめる

(・・・・・・・・・・・)

もうナルトは何も言わなかった

「・・・・眠ったの?ナルト君」

大蛇丸はそう言うとナルトを抱いて歩き出した




























「・・・・・・?」

ナルトが次に目がさめたのは自分の部屋だった

なにがあったのか良く思い出せないでいる

ただ記憶にあるのは燃えるような紅い花

優しい腕、そして

「かならず天国に連れていってあげる」

その言葉だけだった

ナルトは抱きしめてくれていた人を探すために里を歩く

でも、あの場所を見つけることは出来なかった

そもそもどこだったのかそれすらわからない

自分を抱きしめていた人の顔もわからない

そんなことを考えているうちに河原にたどり着いた

そこにあったのはあの華だった

ナルトは華を掻き分けようと進む

華はたやすく折れてナルトは驚く

そして好奇心で華をなぎ払ってみる

簡単に折れて地面に落ちる花

面白くなった

罪の意識が湧き上がってきた

でも、やめられなかった

そのあたりの花をすべて折ってしまったころにはもう何を探していたのか忘れてしまった

まるで、何事もなかったようになにも覚えてはいなかった

そして、それを思い出すのは1年後の同じ季節

曼珠沙華の華を見て思い出す

でも毎年同じ

華を折ってすべてを忘れてしまう

「かならず天国に連れていってあげる」

その約束がかなうのはずっとあと

約束した男はナルトの願いをかなえるために里に戻ってくる

でも、それはまだずっと先のことだった





END





あとがき

う〜〜〜〜〜ん、秋ですねvv(おい)
・・・・・・・わかってるんです!わけわからん話だって言うのは(T_T)
彼岸花って大好きな花なんですけど・・・・・好きな人って少ないですよね
私は好きなんですよ本当に!!(だからなに?)
綺麗だと思うんですけどね〜
どうしてあんなにけんえんされるのか私には分からない
ほんとにどうしてでしょう?