いっしょに

 



金の光が目の前を横切る

サングラス越しにその光を追えば自然とあの子にたどり着く

「・・・・・・」

そしてまた思う、今日もあの子は一人なのだと

人とかかわることをあまりしないシノの耳にすら届いているナルトのうわさ

どれも悪いものばかり

それも、どちらかというと、大人・・・教師達のほうが悪口を言いふらしている気がする

本人も子供が言う悪口には反応しても大人の悪口には悲しい顔をするだけ

知らずシノは息を吐く

その理由はまだ知らない











アカデミーを卒業してナルトと会うことはほとんどなくなった

お互い任務が忙しいということもあったが、シノはなんとなくナルトにあうことを避けていた

任務で見かけるナルトはいつも笑っている

アカデミー時代にはほとんど見せたことなどないような笑顔

安心したような笑顔

仲間を得て余裕が出てきたのだろうか?

下忍の強化のために行われている期間限定合同任務

合同といっても自然に各班にわかれてしまう

「ん〜?おまえらせっかくの合同任務なんだぞ〜どうせならばらばらに組んでみないか?」

カカシが突然言い出すと両手にくじをもって突き出す

「そうね、面白いかもしれないわね」

紅も賛成する、アスマ、ガイもとくに反対はしない

仕方ないのでそれぞれカカシからくじを引く

結果

(サスケ、キバ、チョウジ、担当ガイ)(いの、リー、サクラ、担当紅)(シカマル、ヒナタ、テンテン、担当カカシ)(ネジ、ナルト、シノ、担当アスマ)の組み合わせになった

全員に微妙な沈黙が訪れる

それは担当のことだったり、組み合わせのメンバーだったりする

「行くぞ!お前達!青春だ!!」

「ほらほら、とっとといくわよ」

「ま、適当にね〜」

「・・・・・いくか」

それぞれの新しい担当の号令にしぶしぶ(中には楽しそうにいくものもいるが)ついていく











任務は簡単だった、シノの蟲を使って森の距離を測りネジが白眼で詳細を確かめる、そして森での感が一番働くナルトが全体をまとめていくのだ

はっきりいってこのメンバーでは楽勝の任務

ナルトも珍しく文句のひとつ言わない

アスマは思わず感心する

変にまとまりが取れている

普段のチーム以上に通じ合っている気がするのだ

「確かに、いいチームだよな」

それぞれの才能がうまく回っている

「だが・・・・・」

まとまりすぎている気がするのはなぜだろう?

「それぞれがなすべきことを知っているからだよ」

アスマのつぶやきにネジが答える

「脚色も強がりもいらない、だからまとまっているように見える」

「見える?」

「まぁ、このチームの問題はあいつだな」

ネジはシノを見る

自然に見せてナルトをさけているシノに気がつかないネジではない

面白いからほっておいているだけだ

「・・・まぁ、ばかばかしいてのもあるんだがな」

ため息の原因のナルトがネジに近づいてくる

「なにため息ついてるんだってばよ?」

「・・・・・・なぁ、ナルト天然って、罪だと思うか?」

「はぁ?」

「・・・なんでもない」

訳のわからないことを言うネジにナルトはあきれた顔でついていく

シノの蟲が戻ってきたのだ

シノが的確に蟲の持ってきた情報をネジとナルトに伝える

ネジが白眼を使っている間手持ち無沙汰になったナルトがシノを見る

「なぁシノ、天然ってなに?」

「・・・・・・・自然のままのもの、もしくは生まれつきもっているもの」

どうして突然そんなことを聞かれたのかはわからないがちゃんと答えるシノ

シノの答えにナルトはなにかを考え込む

その様子を横目で見てネジがため息をつく

アスマもどこか目線をそらしている

本人達は気がついていないがはたからみたらただいちゃついているバカップル以外のなにものでもない

シノがナルトを避けようが、ナルトが気がついていなかろうが関係なく

「シノ、俺ってば天然?」

「・・・・・・・・(こくり)」

「・・・・・・・俺って、罪?」

「・・・・・・・」

シノは横に首を振る

「・・・・・・シノ〜?シノってば俺のこと好き?」

「・・・・・・・・・・」

サングラスで隠された目を見開いてナルトを見る

ナルトはびっくりした顔をして首を振っている

どうやら今言ったのはナルトではないらしい

後ろを振り返ると白眼を解いたネジが青筋を浮かべてたっている

シノは眉間にしわを寄せる

「・・・お前ら、いいかげんにしろよ?」

「はぁ?!」

ネジのわけのわからないセリフにナルトが首をかしげる

「そろいもそろって天然が!チームでいるときぐらいそのバカップルモードをやめろ!!」

「「バカップル?」」

声をそろえて聞き返す

ネジはあまりにも天然な二人に怒る気もうせたらしく

「向こうのほうを見てくる、お前達二人はここにいろ」

そういってとっとと姿を消す




残された二人は長い沈黙に支配されている

なんとなく気まずい

「・・・え〜と」

どうしたものかとナルトが考えているとシノがナルトの顔を手で挟んだ

「シノ!?」

「・・・・・・天然」

「・・・・・・は?」

「バカップル」

「はぁ?」

「・・・・・・わかった」

顔から手を離して一人納得したらしいシノ

「おれはお前が好きらしい」

突然の告白にナルトはついていけずに思考停止中

「おまえはおれが嫌いか?」

「・・・・・・・・」

答えないナルトにシノは否定と捉えたのか少しさびしそうだ

「・・・して?なんで・・・・て、聞かないんだってばよ?」

頭の回転が始まったのかナルトは目に涙をためてシノを見上げる

「どうして「嫌いか?」って聞くんだってばよ!」

それは簡単、「好きか?」と聞いて「好きじゃない」といわれるより、「嫌いか?」と聞いて「嫌いじゃない」といわれたほうが精神的に楽なのだ

「「好きか」って聞いてってばよ」

泣かないように唇を噛んで言うナルト

シノはその言葉に後押しされるように

「・・・好きか?」

「好き!大すきだってばよ!!」

そう言ってナルトはシノに抱きつく






「・・・あのバカップルは〜〜〜〜〜」

木の上で戻ってきたネジと一部始終を見ていたアスマが二人を見下ろしている

震える拳を握り締めてネジがアスマを降りかえる

「今止めに入ったらどうなると思いますか?」

「蟲に刺されて死ぬ奴って結構いるよな」

アスマが苦笑する

つまりはそう言うこと

今言ったらバカップルプリに当てられるだけではなく間違いなく何らかの報復があるだろう

ネジは震える拳を何とか押さえるとふてねをはじめた

「後で起こしてください」

そう言われたアスマは引きつった顔で下を見る

当分終わりそうにないバカップルモード

「・・・いい、チームだな・・・本当に」

一人つぶやいた











結局ナルト達のチームが任務を終えたのは夕日が沈むころ

4チーム中最後だった

戻ってきたナルトたちに待たされた文句を言おうと思って待っていたサスケたちはどこか雰囲気の変わったシノとナルトになにも言えなくなる

ナルトが頭を押さえているのは先ほどあまりにも長いバカップルぶりに切れたネジに殴られたからである

ちなみにシノは足を思いっきり踏みつけられている

「俺はもう帰る」

「俺もだ・・・後は頼んだぞ」

ぐったりとしたネジとアスマ

「俺も帰るってばよv」

シノの腕に巻き付いてナルトが言うとネジの本気のクナイが飛んでくる

シノはナルトを抱えてそれをなんとかよける

クナイを投げたネジは何事もなかったように道を歩いていく

わけのわかっていない面々となんとなく気がついた数名、そしてまさに同じ気持ちのアスマ

それでもめげないナルトとシノ



その後数日、続く合同任務のたびに切れたネジが目撃されたらしい






END






あとがき

5000HITリクのシノナルですv
二人の世界で犠牲者ネジ&アスマ・・・・・
どうしてこの人選なのか?答え!書きやすいというか、ある意味突っ込みな二人だからです!
春架さんこんなものでいかがです?
とりあえず、「二人の世界」をめざしたんですけど・・・