蟲の色

 


「何が映ってるんだってばよ?」

サングラスを覗いてたずねてくるナルトは不思議そうに聞いてくる

同じだ、とは答えずにじっと子供を観察する

感覚でものを言ってくる子供は何が聞きたいのだろう?

「蟲の目は何を見てるんだってばよ?」

ナルトのその言葉に「ああ」と納得する

内側に蟲を住まわせているシノならば分かると思ったのだろう

蟲が何を見ているのかが

「色のない世界」

シノは答える

ナルトはなにやら考え込んでしまったようでシノの目をサングラス越しにじっと見つめたまま動かない

シノはそんなとき何もいわずにナルトが答えを出すまでずっと待ちつづける

風がナルトの髪をなでる

ふわふわとした髪は見ているものが思わず触りたくなる

まだ考え込んでいるナルトの髪をそっとなでる

その感触を楽しみながらナルトをひざの上に置いたまま時を過ごす

「・・・蟲が色を見れないんだったら、俺の髪の色もわかんない?」

里で唯一の金色の髪

迫害の対象のひとつである

シノはわずかに目を細める

「もったいない」

シノの言葉にナルトは首をかしげる

「きれいな色だ、見れないのはもったいない」

シノの言葉に顔をほころばせてナルトは笑う

「ありがと」

ポフッと音がするようなしぐさでシノにもたれかかる

蟲の目は色を写さない

それでも光を感じる

まぶしいほどの光を放つ子のこの髪の色は蟲の目にもきっと映っているのだろう

輝く光の色が

「シノは俺の髪好きなの?」

「ああ、好きだ」

―――中にいる蟲たちもみんなおまえが好きだよ

人を信じることになれていないナルトは

人ではないものと心を通わせることのできるシノが好きだった

他の人とは違い自分を排除しない

内側に蟲を住まわせていると聞いたときナルトはただ「そう」としか言わなかった

なんとなく感じていたのかもしれない

二人は同じなのだと

異形を内に秘めた「同種」の人間なのだと

それでも、二人はお互いに何も言わずに傍にいつづける






蟲の目に映る二人は

とても幸せそうで

色のない世界に光が広がっていく

二人の内側にいるものたちは

主の幸せを願う

守り、力を与える

身の内に自分達を住まわせてくれる代償に






END




あとがき

1100hitリクですvv
シノが体に蟲を飼っていると知ったとき
「よっしゃ〜〜!」と叫んでました
ナルトとおそろいですよvvお・そ・ろ・い
これ以上ないってくらいに萌えるじゃないですか!
ちょうどよいネタに飛びつきました