誰が駒鳥殺したの

 





すべての時がとまる

おれという存在のすべてが今このときにとまる

それは望んだこと

それは望まなかったこと

受け入れた運命

受け入れたくなかった運命

微笑んだ心

涙を流した心





























一人でいるのが嫌になったのはいつだったろう?

壊れていく身体

いつからだろう?血を吐くようになったのは

身体から取れることのなくなった血の匂い

いつからだろう?この心が狂い始めたのは

九尾の声はいつも俺を闇へと誘う

大地が泣いている声を聞いたのはいつからだったのか

大気が振るえているのを感じたのはいつからだったのか

声は大きくなり俺を襲う

狂おしいほどの悲しみ

凶悪な憎しみ

そして・・・・・・・・なによりも深い愛情

いつからだろう?それがこの里の声なのだと理解し始めたのは

里をすくってと訴えてきたのはなんの声だったのだろう?

守り神を失ってなお存在しつづけたこの里はもう限界だったのだろう

太古からの封印はほつれ始め、里が狂い出していく

いつからだろう?この里を守りたいと思い始めたのは・・・・・・



























死にたくないと思ったこともあった

いまのままずっといたいと願ったこともあった

死にたいと何度も願ったこともあった

すべてを壊して、このまま闇に飲まれたいと思ったこともあった

壊れ始めたものはもう元には戻らない

九尾の力をもってしても削りとられたものは修復できない

「怖いよ」

死への恐怖なのか、狂うことへの恐怖なのか?

人の温もりを求める

手を伸ばした先に愛する人がいつことに安堵する

でも、それでも俺は満たされない

相反する思いを抱えたまま狂っていくしかないのか?

それとも、正気なまま死ぬのか?

決断は近い

どんなに悩んでも、道はひとつしかない

でも、それでもその結果は正反対のものになる




























「俺を使って」

選び取ったのは正気であるうちに眠りにつくこと

身体の成長も、時間もすべて止めてこの里で眠ること

それは、裏切りに近いのかもしれない

森羅万象の輪廻を止めて

俺は一人罪をかぶる






たったひとつのわがまま

最期のわがまま

だから笑って見送って

泣かないで

笑って

「この里の未来になれるかな?」

「うん、私がナルト君を未来にするよ」

そういって笑ってくれた彼女

ありがとう

それが俺の望みだから

いつまでも俺を知ってくれている人がいる限り俺は大丈夫だから

ごめんな、こんなわがままで縛り付けて






ふと、ネジと目が合う

本当は叫びたかった「死にたくない、こんな里なくなってしまえばいい」と

でも、それはできない

許されない

俺がそれを許さない

すべてを見つめつづけてくれたネジ

どんなに感謝してもしきれない

いつでもその気配があったから俺はここまで辿り着けた

俺の月

闇の中で光る唯一の光

ごめんね最期までわがままで








身体から次第に熱が消えていくのを感じる

握られたシノの手が熱い

愛した人

愛してくれた人

残していってしまうのを許してください

殺したくなかったから

どうか許してください

「シノ・・・・・愛してるってばよ」

「ああ、俺もだ。ずっと愛してる」

「・・・・・・・・・・うん」

許してください

苦しみにあなたを落とすことを

許してください

あなたを愛してしまったことを・・・・・・・



























すべての時がとまる

この里のときも止まる

繰り返される螺旋

ゆがむ螺旋はどこまで続くのか?

真実を告げられた人々はどこへ行くのか

すべては時の止まった螺旋の上にある

おれは見つづけるこの場所で

最期まで・・・・・・最期まで・・・・・・・・・・・・・・

この螺旋の崩れる先までずっと見つづけていくから



























誰が駒鳥殺したの?

それは私・・・・と誰かが言った

みんなで駒鳥殺したの

苦しむあの子にに眠りを与えた

空のすべての小鳥たち

ため息ついて忍びなく

かわいそうな駒鳥は

いまもここで眠ってる

















Are you happy?







あとがき

や〜っと終わりました
ホントに最後の最後まで暗いお話になりました(((((−−;)A
これで駒鳥シリーズは完結です
キバとかサクラとかを出せなかったのが心残りですが・・・・

どちらを選んでも後悔するしなかい選択肢の前で狂っていくナルトの心情とかをもっと書きたかったのですがう〜〜ん、50点ですかね?
もっと殺伐としたことを考えていたのですが・・・やめました!(おい)
ナルトにも幸せを!が今回の目標のひとつでもあったので(幸せか?アレで幸せか?)
結局人の運命なんてその人にしか決められないんですよね・・・・・・・・