誰が死ぬのを見たか

 




すべてはあの時に始まりあの時に終わっていた

その罪は裁かれることもなく、裁くこともできずに今、自分はこうして生きている

泣く赤子を抱きしめた息子から赤子を受け取ったとき、すべては始まり終わったのだった

暴れ狂う九尾

鎮めることは不可能だった

だから、最期の選択をした・・・・・・許されることのない永遠の罪の選択を











日に日に弱まっていく封印

それは次第にナルトとこの里を蝕み始めた

あの時九尾と同じく封じられたものどもが九尾の気に当てられて目覚め始める

それは決してあってはいけないことそして、それはもう人に押さえることができなくなっていった

そして、ナルトの身体もまた・・・・・・・・・限界だった

人にあらざるチャクラ

それを長年押さえてきたナルトは狂気に襲われるのを押さえるので必死だった

「俺を使って」

ナルトは火影に言った

その目はかつて決して許されることのない罪を犯した息子と同じ輝きを持っていた

「いかん」

なにかに恐れるように火影はナルトを見る

「もう時間がないってばよ!おれはこの里を滅ぼしたくないってばよ!」

「いかん!」

「・・・・俺の身体も、時間がないんだってばよ」

寂しそうにナルトは言う

ナルトの内蔵ははっきり言って今その機能をほとんど果たしてはいなかった

いまこうしてナルトが生きているの九尾のチャクラがあってこそなのだ

夜毎に吐き出される血は黒く、身体の限界を訴えている

「今なら・・・・・今しかないんだってばよ」

「・・・・・・・」

ナルトの瞳の光、そして言葉におろかな息子を思い出す




























「何を考えておる!」

赤子を抱いた男に火影は叫ぶ

「・・・今しかないんです・・・・・・・・・」

男はそう言って赤子を地面にそっとおろした

「・・・・・・・・・・・・・九尾!お前を封印する!!」

男からあふれ出るチャクラ

それは里を包んでいる邪悪なチャクラを包み込んでいく

「やめろ〜〜〜〜!」

火影はもはや叫ぶことしかできなかった

男を止められるであろう友は今ここにいない

一瞬の閃光

すべての時がとまったかのようにすべての音が消えた









気がついたとき、男と赤子は姿を消していた










「探したぞ」

氷室の中、男は赤子を抱きしめていた

その胎には封印の印が刻まれている

「・・・・・おぬし」

火影は男を信じられないものでも見るように見つめる

男は自らの血でもって赤子に九尾を封印したのだ

「・・・・三代目、お願いがあります」

「いうてみい」

「このこに、俺の息子に名前を・・・・・・」

思えばこの赤子には名前すらなかった

「・・・・ナルト・・・・・・・ナルトとしよう」

優れた人と成るように「成人」と・・・・・・・

「ナルト・・・・・」

男は愛しそうにナルトの頬を撫でる

「・・・・・ごめんね、ナルト」

男はそう言うと火影にナルトを渡してそのまま氷室の中で息を引き取った



























「愚か者じゃ!おぬしもおぬしの父親も!」

「・・・・ごめんってばよ」

そう寂しそうに笑うナルト

「他の方法を今考えておる、今はまだ結論を出すことはできぬ」

それは嘘だった

他の方法なんてない

時間はない

方法はひとつしかなかった

崩壊に向かうこの里をすくう方法はたったひとつだけだった

ナルトを人柱にこの里の結界を強める

おそらく永遠に朽ちることのできないナルトでこそできるもの

「じっちゃん」

「まだ、結論はでておらん」

「・・・・・俺の最期のお願いだってばよ」

「・・・・・」

「俺を使って」

「・・・愚か者が」



























氷室にある台座に横たわるナルト

それは愚かな男を思い出させる

しかし・・・・・・・・・・

「一番の愚か者はわしかの」

自嘲気味な声

とうに涙など流し尽くし、目の前にいる孫に与えてやるものなどもうなにも残ってはいなかった

「じっちゃんもう十分だってばよ」

そう笑うナルト

枯れたはずの涙があふれそうになった







o be continued






あとがき

中途半端でごめんなさいm(__)m
ナルトが死ななければいけなかったわけとか考えてたらこんなことに!!
本当は全員分+αで謎を解明していく予定だったのをむりやりひとつにしたのでかなり説明的なものになってしまいました
次回で完結です!