だれが見送り人になる

 




「ねぇ?聞こえる?

この大地の声が

ねぇ?聞こえてる?

大気が泣いているのを

ねぇ?わかってるの?

すべての人を慈しむべきものが泣き叫んでいることを」



























「・・・・・・・・・っ」

ナルトは目を覚ました

自分の身体を思わず抱きしめる

そして実感する

生きている、と・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

皮膚の下で脈打つものを確かめたくて皮膚を切り裂きたい衝動に駆られる

自らの手を首に持っていく

指に力をこめてその皮膚を切り裂こうとしたその瞬間

「なにをしている?」

指先に別のナルトのものではない指が絡みつく

「・・・・怖いよ、シノ」

ナルトは首から指を離すとシノに抱きつく

シノはそんなナルトを優しく抱きしめるとそのままナルトの髪に顔をうめる

「おれは、自分が怖いってばよ」

人ならざるものの声を聞き、それを感じるこの身体

「怖い」

「ナルト」

シノはただナルトを抱きしめる











そしてその1週間後

シノは氷室にいた

あのとき抱きしめたナルトの暖かさは今はもうない

自分をまっすぐに見詰めてくれたその瞳はもう開かない

横を見ればヒナタが泣いていた

シノは心の奥でほっとしていた

これでナルトがもう苦しまないですむと分かっているから

もう夢に苦しむことがないとわかって言うから

でも、それでもナルトにそばにいてほしいと願っている自分がいる

内に蟲を飼う自分を人として見てくれたナルト

やわらかな肌も、触り心地のよい髪もそこにあるのに

その瞳は開かない

その唇がシノの名を呼ぶこともない



























棺に入れられたナルト

里を上げての祭りをさけてこの丘に集まった人を見つめる

それぞれが何を思っているのかは分からない

それでも、シノはうれしく思う

ここにいるものはナルトを排除しない

ナルトの「眠り」を悲しんでいてくれる

これから彼らはどうするのだろう

それが予想できるものもいるが、全く出来ないものもいる

しかし、これで何かが変わることは確実だろう

里の実態を知ることになるだろう

とうの昔に神に見放さされているこの里の真実を



























「行くのか?」

闇の中からシノにかけられた声

「ああ、ここにいても何もないからな」

「ナルトがいるだろう?たとえその姿がなくともこの里がある限りナルトは存在しつづける」

闇からネジが現れる

「それがいやなんだ。やっと眠りについたのにそれすらも利用しないと存在できないこの里が・・・・・・・憎い」

「そうか・・・・・お前も行くのか」

「・・・・・も?」

ネジはため息をついた

「ああ、キバもいくらしいこれで4人目だな」

ナルトが眠りについてから数年すでに里に見切りをつけてこの里から出ていったもの達の事を思う

「あとをたのむ」

「わかった・・・・・すくなくとも、俺とヒナタ様は最期までいるさ・・・安心していけ」

シノは頷いて里からいなくなった

どんどんと離れていく里を思う

数年たっても憎しみは消えなかった

それどころかどんどんとひどくなっていった

里を捨てることをナルトは許さないかもしれない

それでも、ナルトを感じながらも触れることが出来ないのがいやだった

触れたかった

抱きしめたかった

その躯を奪いたかった

なんどその衝動に駆られたのか

そのたびに止めたネジには分かっていたのかもしれない

こうなることを
















遠い大地でナルトを思う

そして、また歩き出す

どこへとも決めず

いつまでもといえない悠久の旅路を行く








o be continued





あとがき

なぜこんなに長いのか?
それはシノへの愛が強いからです!
それにこれ、一応シノナル前提だし・・・・・・(ええ、そうなんですシノナルぜんていなのです)
そばにいるからこそたえることの出来ない思い
そんな感じのものをシノにはもってほしいのです!(勝手ですみません)