呪歌

 



Solomon Grundy

Born on a Monday

Christened on Tuesday

Married on Wednesday

Took ill on Thursday

Worse on Friday

Died on Saturday

Buried on Sunday

This is the end

Of Solomon Grundy











「ソロモン・グランディ

月曜日に生まれて

火曜日に洗礼を受けて

水曜日に結婚・・・・・・・・・・」

いのはふと歌声を聞いて立ち止まる

誰の声だろうと思って歌声をたどってアカデミーの中を歩き出す

「木曜日に発病して

金曜日に悪化して・・・・・・・」

歌詞のないように眉を寄せる

「土曜日に死んじゃった

日曜日に埋められて

これでおしまい

ソロモン・グランディ」

「とんでもない歌ね」

いのが声をかけると歌っていた人物、ナルトは驚きもせずに振り向いた

いのははじめてナルトという人物を正面から見た

うわさは沢山聞いていた

二年連続留年した「ドベ」

今も成績は最悪

いたずらばかりのろくでもない奴

「・・・・・・・ソロモン・グランディ」

ナルトがいのから視線をはずしてまた歌い出す

「月曜日に生まれて

火曜日に洗礼を受けて

水曜日に結婚

木曜日に発病して

金曜日に悪化して

土曜日に死んじゃった

日曜日に埋められて

これでおしまい

ソロモン・グランディ」

淡々とした口調と声

歌うというよりもつぶやくといった感じ

「やめなさいよ」

その様子にいのが耐え切れずにナルトが歌うのを止める

止めないとずっと歌っている気がしたのだ

それこそ、「死ぬ」まで

「そんな歌、何回も口ずさむもんじゃないわ」

「・・・・・どうして?」

「呪歌だからよ」






生まれて、そして死んでしまった子供

わずかな時間しか生きることを許されなかった子供

希望をもてなかった子供

意思も持てず、ただ、運命を受け入れるしかなかった子供

「歌」は「架」

引き寄せてしまうのだそんな子供を

そんな子供を持った親の「念」を






「止めなさい、縁起でもない」

「・・・・・・ソロモン・グランディ」

「止めなさい!!」

廊下に乾いた音が響く

いのがナルトの頬をたたいたのだ

「・・・・止めなさいよ、そんな風に歌うの」

ぶったほうのいのほうが泣きそうな目でナルトを見る

「そんな歌、歌っちゃだめなのよ」

「・・・・どうしてなくんだってばよ?」

ナルトは不思議そうに聞く

「・・・・・・・・」

答えないいのにナルトは少し考えていのを置いて歩き出す

「・・・・ちょっと、どこ行くのよ」

「あんたのいないところ」

「なんでよ!」

「だって、まきこまれたくないんでしょ?」

ナルトは歩くのを止めない

いのは自然とナルトの後を追う形になっている

「なんのこと?」

「呪歌にまきこまれたくなから歌って欲しくないんでしょ?だから、あんたがいないところにいく」

それはつまり歌うのを止めるということではない

「違うわよ」

いのは心外だという顔でナルトの前に立つ

「私は!あんたが心配なのよ!あんな歌、歌って、なんかあったらどうすんのよ!」

「・・・・平気だってばよ」

いのの横を通りぬけてまた歩き出すナルト

「待ちなさいよ!」

腕をつかんで歩くのを止める

ナルトはどうしてそんなに引き止めるのかわからないという顔

「・・・・どうして?どうしてあんな歌、歌うのよ」

泣きそうになりながら聞いてくるいのにナルトはちょっと考えてから今日あったことを話す











いつものようにアカデミーに来る途中女に会った

腕に人形を抱いた女

ぶつぶつとなにかを口ずさんでいる

「・・・・・・・・・・・・・て

・・・・・発・・・して

金・・・日に・・・化して

土・・・・・・に死ん・・・・・・た

日・・・・・・・・・に埋め・・・・・・・・

これでおしまい・・・・・・・・・・」

女は人形の首をクナイで切り落とした

「ソロモン・グランディ」

つぶやいてナルトの横を通りすぎていく

その様子を目で追っていたナルトの目の前が一瞬真っ赤になった

女のもっていたクナイがナルトの首をえぐったのだ

噴出す赤い血の向こうで女が泣いていた

「ソロモン・グランディ

月曜日に生まれて

火曜日に洗礼を受けて

水曜日に結婚

木曜日に発病して

金曜日に悪化して

土曜日に死んじゃった

日曜日に埋められて

これでおしまい

ソロモン・グランディ」

泣きながら歌う女

首のない人形はナルトの血で真っ赤に染まっている

女はなおも歌い、泣きつづける

「ソロ・・・・・モン、グラ・・・・・・・・

・・・・・・日、に生ま・・・・れて

火曜・・・・日に洗・・・・・・受けて

水・・・・・・・日に結婚

木・・・・・・発・・・して

金・・・・・・・・・・・・・て

土曜日に死・・・・・・・・った

日・・・・・・・・・埋めら・・・・・・

これ・・・・・・・で、おしまい

ソ・・・・・・・・ン・グラ・・・・・ィ」

歌いながら人形を抱いていない手でナルトの首に手を伸ばす

「・・・・・・・・・これ、で・・・・・おしま、い?」

血があふれて今にも倒れそうなナルト

女はもっていた人形を地面に置くとナルトを抱きしめる

「・・・めん、ね・・・・・・ごめん、ね」

泣きながら謝る女

流しすぎた血はナルトの意識を奪っていく

ふと、暖かいものがナルトの頬を伝った

見ると女の喉にクナイが刺さっている

「・・ぐっ・・・ご・・・・・・・・ね」

女はそのままナルトに覆い被さるように倒れる

消えていきそうな意識の外でナルトは女の歌っていた歌を聴いた気がした











「はぁ?なによそれ??作り話にしちゃたちわるいわよ??」

いのはあきれたようにため息をつく

首をいられたならばナルトがここにいるのはおかしい

第一そんな後など微塵もないし、そんな話は聞いていない

「事実だってばよ」

悲しそうに言うナルト

いつのまにか二人は人気のない道を歩いている




ナルトの足が突然止まった

いのが不信がってナルトの視線の先を見る

転がる首のない人形

背筋を何かが走った

ナルトは人形を取り上げるとポケットの中から人形の首を取り出してまた歩いていく

いのは怖くなりながらもその後をついていく




大木の下、ナルトは人形を埋める

いのも手伝う

無言の作業

「ソロモン・グランディ

月曜日に生まれて

火曜日に洗礼を受けて

水曜日に結婚

木曜日に発病して

金曜日に悪化して

土曜日に死んじゃった

日曜日に埋められて

これでおしまい

ソロモン・グランディ」

ナルトがまた歌を口ずさむ

今度はいのも止めなかった






「どうして、傷、ないのよ」

埋め終わったナルトにいのが立ち上がって聞く

ナルトは見上げて首を振る

「そっか・・・・・・」

いのはもう一度ナルトの横にしゃがむ

「・・・・・あんたさ、あの歌どんなつもりで歌ってたの?」

「・・・・・わかんないけど、あの人が歌ってたから」

「そう」

ずっと、「呪歌」だと信じて疑わなかった「うた」

ナルトはそれを無意識に「まじない歌」に歌ったのだろう

「これでおしまい・・・・・・か」

もしかしたら、「祈りの歌」なのかもしれない

すべてのしがらみをなくして

苦しみを終わらせて、幸せになれ・・・・という

「・・・・・・ところで、私の名前はいのよ!山中いの!!」

「・・・だから?」

「友達になりましょう!私あんたに興味が沸いたの」

いのの宣言にナルトは驚いていのを凝視する

「・・・・・・・・さんきゅ」

小さくそういって照れたように笑う

始まったばかりなのだ

いのはナルトに今日はじめて触れた

ナルトはいのにはじめてであった

「これが始まり」なのだ











END










あとがき

いのナルです!誰がなんと言おうと!!(ひらきなおり)
某チャットでマザーグースの話しで盛り上がったときに思いついたネタです
このネタの相手は絶対いのと信じて疑わなかった私・・・・
書いてみるとなんというか、「てめー、マザーグース馬鹿にしてんじゃねーのか?」
と突っ込みたくなるような内容ですね・・・・・

マザーグースで書きたいネタは実はいっぱいありますv
また書くかもですマザーグースネタ(ていうか、絶対書く!!)
そのときはどうか温かい目で見てやってくださいませ