悪魔と化け物の遭遇

 

 

 

しまった、と思った。

そして、どうにでもなれと思った。

どうせこの兄は妹がだれとラブシーン・・・のようなものをしていても気にしない。

ミハエルに抱きしめられたままの格好で固まる私をよそにカーティスは冷蔵庫から冷やした紅茶を取り出して平然としている。

かたや、ミハエルもそんなカーティスを気にせずに相変わらず私の髪を梳き続けている。

気にしているのは私だけのようだ。

はぁ、なんで私の周りにはこうもマイペースな人間・・・とはいいがたいけど・・・がそろってるのかしらね。

「なにため息なんかついてるわけ?」

ため息をついたのが気に入らないのかミハエルが私を抱きこんでいる片腕に力を入れてくる。

といっても、相当な手加減をされている。

前に手加減を間違えたのかちょっと掴まれた手には打撲のような手の型のあざが1ヶ月残った。

「あー、なんでもないわ。ちょっと世の中の不条理を考えてただけ」

「なにそれ?愚かな人間の癖にわけのわからないこといわないでよ」

「そうね」

そこでカーティスと目があう。

まだ立ち去ってなかったのかこの男はっ!

ってか、なんか興味深そうに見てきてるし・・・、あーーーっもうなんだっていうのよ!

「ちょっと、何考えてるわけ?」

「いや、カーティスがいつまでここにいるのかと思って」

「何それ、君がよそ見してるのはそこの男のせいってこと?」

「・・・・・・そうね」

もう投げやりに答える。

カーティスもちょっとは痛い目見ればいいのよ。

「ふーん、気に入らないな」

「お邪魔ですか?」

「邪魔だよ、邪魔に決まってるじゃないか。
 そんなこともわからないの?」

ミハエルの矛先がカーティスに向く。

あー・・・ちょっと腕の力がきつくなってきたかなぁ。

「僕のことは気にせずにどうぞ続きをしてください」

「そうなの?ふーん、じゃぁ気にするシエラが愚かなの?」

「そうですよ」

げっ、カーティスのやつ・・・。

「ふーん、でも僕、お前が気に入らないよ」

「おやおや」

あら・・・なんだかいつもと違う?

「目障りだよ、人間」

「・・・・・・ふっ」

「なに笑ってるのよ」

「いえ・・・お邪魔虫は馬にけられる前に退散することにしますよ」

そういってカーティスは部屋を出て行く。

いったいなんだったのかしら?

っていうか、ミハエルっ腕の力緩めてよッ息が苦しいじゃない。

「気に入らない」

「・・・・な、んで?」

「イライラする」

「っ。。。ミハ、エル苦しいっげほっ」

本格的に息が出来なくなってくる。

力なくミハエルの腕を叩けば途端に緩められる力。

「はぁっ」

「大丈夫?死んじゃった?」

「生きてるわよ・・・」

まぁ、何はともあれ・・・、ミハエルは人間の中でも特別に嫌いなものにカーティスを追加したみたい。

これで何人目かしら?

 

 

 

 

 

 

 

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