初めての花束

 

 

 

『おにいちゃん、おててつないで?』

『仕方がないですね』

『おにいちゃんのおてて、つめたいね』

『シエラが熱いんですよ』

『おにいちゃん、ママとパパは?』

『まだ帰ってきてません』

『・・・・・・・』

『私がいるでしょ』

『うんっ』

 

 

 

 

 

「・・・・・・・」

転寝から起きたばかりのカーティスの眉間にしわがよっている。

変な夢でも見たのだろうかとシエラが首をかしげているとおもむろにシエラを見てため息をついた。

「なによ」

「昔はあんなに可愛かったのにと思っただけです」

「は?」

「もっとも、今も昔みたいだったらあきれますがね」

「意味がわからないんだけど?」

今度はシエラが眉間にしわを寄せる。

 

 

 

 

 

『おにいちゃん、シエラのおかぜつっちゃったの?』

『大丈夫ですよ』

『ごめんねおにいちゃん』

『気にしないで良いです』

『あのね、シエラおはなもってきたの』

『そうですか』

『うん、おにいちゃんはやくよくなってね』

『・・・・・・そうですね』

 

 

 

 

 

「まぁ、あれが思いっきり毒草だったのは他意はないとおもっておきます」

「いや、だから意味がわからないっていってるんだけど」

 

 

 

シエラがまだ小さかったころ、初めてカーティスにプレゼントした花束は福寿草の花束。

見た目は綺麗でも死に至らしめることの出来る毒花。

花言葉は思い出や永久の幸福。

カーティスの部屋には今もその花が押し花されて飾られているのをシエラは知らない。

 

 

 

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