ああ、自分は死ぬのだ。

大量の血が流れていくのを感じながら冷静に思う。

今、目を閉じればきっと眠るように死ねるだろう。

「げほっっ」

でも、閉じるわけには行かない。

最後まであがいて見せると、最期まで抵抗すると約束したから。

「かはっ・・・っぅ」

ナイフはきっと内臓をえぐっている。

もう、だめだろう。

何をしても助からない。

「・・・エ、・・・ドさ・・・ま」

申し訳ありませんご主人様。お役に立てなくて。

無様なこんな無様な部下のことなんて、忘れてください。

視界が闇に染まっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつまで寝てるつもりですか?」

「え?」

目を開けたらそこには赤い髪の化け物。

夢を、みていたのかしら?

ぼうっとした頭で目の前の化け物を見る。

ああ、この男の修行とか言う拷問のせいで死に掛けたんだった。

こうしているということは、今回も生き残ったらしい。

「・・・・・・夢」

「なんですか?」

「夢を、みてたわ」

「そうですか、だからなんなんですか。とっとと起きてください」

この化け物は怪我人をいたわるとかいう気遣いは無いのか?

・・・・・・・・・あるわけないか。

夢の中で私はだれに謝っていたのだろう?

とても大切なことのような気がするのに思い出せない。

でも、覚えてる。

私はいつかこの化け物の下を去る。

大成する運命と悪魔に言われた道なき道をすすむために。

そのとき、私はあなたの傍にいることができますか?

 

 

 

 

ブラウザのバックでお戻りください。