どれほど眠っていたのだろう?

目を覚ましたら私はブラッドの腕に抱かれてベッドの上にいた。

何か大切な夢を見た気がするのに思い出せない。

 

「起きたのか?お嬢さん」

 

ブラッドの言葉に首をかしげる。

今までは名前やおちびさん、と呼んでいたのにまるでアリスを呼ぶように私を呼ぶ。

もしかしてアリスと間違えて?

・・・・いや、それはないか。

 

「ブラッド、この状況はなんなんでしょう?」

「おや、君が私の手を離さなかったというのに」

「え?」

 

そういえば、夢の中で確かにブラッドの手の暖かさにしがみついたような覚えがある。

でも、もっと重要なことがあったはず、そう・・・とても重要な、ことが。

ブラッドの腕の中から抜け出して気がつく、手や足、髪の毛が伸びていることに。

ああ・・・・・・そうだ、私は

 

「成長、してしまったんですね」

 

ポツリとつぶやいて涙が落ちた。

成長なんて望んでいない。

子供でいなくちゃいけない。

あの人が望むままの姿でいなくちゃいけないのに。

 

「カヅキ」

 

ブラッドが私を呼ぶ。

 

「カヅキ、君の秘密を私にいつか教えてくれるね」

 

私の秘密?

そんなもの知ってどうするというのだろう?

知ればきっと私に幻滅するだろうに。

 

「私は君のすべてを暴きたい、でもそれは君にとってタブーのようだ」

 

だから教えてくれとブラッドはいう。

ああ・・・あなたはどうしてそんなに優しい目をして私を見るのでしょう?

いつから私は、あなたのその目が苦しくなってしまったのでしょう?

 

 

 

 

今にもすり抜けてしまいそうな程にか細いこの手を離さないで

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