花は、まだ開かない。

極彩色の空間に守られる花を思い出し、ついため息をついてしまう。

帽子屋はいったい何をしているんだか。

「君も何をしてるんだか・・・」

「薬をすりつぶしてます」

(あなたに飲ませるためのですけどね)

「のっのまないぞ!もうあんな卑怯な手にひっかかるものか!!」

「飲んだじゃないですか」

「ひッ卑怯だ」

渡されていたカフェラテに薬が仕込まれていたなんて想像もしていなかった。

まさかカヅキに裏切られるとはっ!

私は君だから信じて飲んでいたというのに、これはひどい裏切りだっ私はひどく傷ついたぞ!!

(それで健康になるなら良いじゃないですか)

よくない!よくないぞ!!

ばらしてからというもの、私は恐くて何か食べるのにもびくびくしなくちゃいけないんだ!

これ以上具合が悪くなったらどうしてくれるんだ!

(大人しく飲み続ければ悪くはなりません)

いやだ!絶対に飲まないぞ!!

「・・・・・・・・・情けない」

「うっっ」

「あと、途中から声に出してます」

乳鉢の中の何かをろ過して小瓶に移しながら言われて具合が悪くなる気がした。

「うう。。。そんな色をしているのになんで無味無臭なんだ」

「不思議な世界ですよねぇ」

瓶の中にはなにか黒くキラキラ光るものが浮いているクリーム色の液体。

明らかに怪しい。

「そんなわけですから」

「いっいやだ!飲まないぞ!絶対に飲まないぞ!」

「はいはい」

気がつけば手足が動かない。

カヅキの獲物の鋼糸が絡まっているせいだ。

せっかくの技術をこんなことに使わなくたって良いじゃないか!

「とっとと口を開けてください」

「いっいyっっげふっっ」

「あ〜・・・ぇぃ」

うぅ・・・吐血してもカヅキはなんで容赦なく薬を流し込んでくるんだ。

気持ちが悪い・・・。

「会合が終わったらグレイに任せるしかないですから今のうちに少しでも飲ませないと」

絶対飲まないぞ!

飲まないッたら飲まないんだからな!

「飲み続けてくださいよ?」

「い〜や〜だ〜」

「飲んでください」

「いやだ!」

「子供じゃないんだから飲んでください、情けない」

「うっ・・・ひっひどい」

カヅキはそういって吐血の血の染み抜きを始める。

そんなことをしなくてもそのうち消えるのだが、帽子屋に見つかるとうるさいらしい。

「・・・君は、会合が終わったらまた元の生活に戻るつもりなのかい?」

「そうなるでしょうね」

「寂しくなるな」

「また夢で会いに来てください」

「ああ、そうするよ」

 

 

 

 

 

極彩色の眩しさに
  
紛れて君に会いに行く

 

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