帽子屋の寵愛を受ける余所者の子供。
会合が始まってすぐ、カヅキの噂はそう伝わった。
それは帽子屋が片時もカヅキを離さないせいもあり、ファミリーの構成員すべてがカヅキを下へとおかない態度のせいでもある。
はたして、それがカヅキにとって良いか悪いかは別として、カヅキはそう認識されている。
「ううっ気持ち悪い」
「ナイトメア様っしっかりしてください」
今日もこんなくだらない会合の進行をしなければいけない。
なんて私はかわいそうなんだろう。
しかも今回の会合はひどくうるさい。
私の気がちって進行どころじゃなくさせる。
「ナイトメア様、がんばってください」
グレイよ、そういっても無理なものは無理だ。
大体、この面子で会合をするって言うこと自体が無理じゃないか。
(アレが帽子屋の・・・)
(あんな子供が?)
(余所者の子供がどうやって帽子屋に取り入った)
(ブラッド=デュプレイの寵愛を・・・)
(余所者が・・・)
(余所者の癖に・・・)
(なんであんな・・・)
(あの子さえ居なければ・・・)
ああ、うるさい。
今すぐ夢の中に閉じこもってしまいたい。
「うっげふっ」
「げっ」
げってなんだグレイ・・・あんまりじゃないか。
私だってがんばってるんだぞ!
えらいんだぞ!
「うう・・・きぼちわるい・・・」
(夢魔はあいかわらずか)
(なんであんなやつが・・・)
余計なお世話だ。
これは体質だ・・・しょうがないじゃないか。
(死なないですよね?)
ああ・・・・君が心配しなくても死にはしないさ。
「うぅ・・・吐く」
「もう吐血してますって」
・・・・・・多分。
カヅキ、君は優しい子だよ。
だから余計なことは考えないほうがいい。
すべて忘れて幸せになってほしいんだよ。
だから、大丈夫だから。
(どうしたら薬を飲んでくれるのでしょうか?)
余計なことは本当に考えないでくれ。
私は薬も病院も大嫌いなんだ!!
絶対に飲まないぞ!!
そうやって今日まで生きてたんです
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