会合のための衣装合わせにと迎えに来れば、そこには姉貴にすがりつくカヅキの姿。
女王にはありえないような慈愛の表情を浮かべてビバルディはカヅキを抱きしめる。
「 」
聞き取れないほどの声で姉貴はカヅキの耳元で何かを囁く。
そのたびにカヅキは涙を流し縋り付く。
まるで失いたくないものにしがみつくように。
そこにはなにか、入り込んではいけない空気があった。
だが、そんなことはどうでもいいことだ。
自分の知らないなにかを共有している二人が気に入らない。
「カヅキ」
声をかければ、ビバルディはブラッドをにらみつけ、カヅキは涙を止めて振り返る。
「会合用の衣装合わせがある、くるんだ」
手を差し出せば困ったようにビバルディをみてその腕の中から抜け出す。
一瞬、離したくないとビバルディの腕が伸ばされたが、すぐにおろされる。
「先にいってなさい」
「はい」
いわれたままに薔薇園を出てくカヅキを確認してから、同じように城に戻ろうとしていた姉に声をかける。
「何を隠している?」
振り返った女王の表情は読めない。
だが、彼女はわかりやすい。
血のつながった姉だ。手に取るように、わかる。
「姉貴は知っているんだろう? カヅキが誰を忘れられないのか」
「私に、誰を重ねているのか」
知っているだろう?
「・・・・・・ブラッド」
拒絶するかのように張り詰めた声色に抱く確信
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