突然泣き出したカヅキにおろおろとしてしまう。

「うれしい・・・んです」

そういって悲しそうに微笑む少女に意味も無く手を伸ばしかけてブラッドにさえぎられる。

上司の腕の中で困ったように泣く少女。

なんで、自分の腕の中に居ないんだ?

ストン、と落ちてきた言葉に首をかしげる。

ブラッドの腕の中に居るからだ。

当たり前のことなのに、どこか納得がいかない自分が居る。

「ごめんな、カヅキ」

わからないけど、泣かしたのは自分らしい。

だからあやまるが、カヅキは余計に困ったように涙を流す。

「謝らないで、本当にいやなわけじゃない、から」

流れ落ちる涙がとてもきれいで目を奪われる。

ブラッドに涙をぬぐわれて照れたように顔をほころばせる少女。

小さな子供なのに、とても綺麗だとおもった。

笑ってほしい。

もっともっと笑ってほしい。

「なぁなぁ、もっと笑ってくれよ」

「え?」

ブラッドでも誰でもなく、目に自分だけが写っている。

「あんたの笑顔、俺すっげーすきだ!」

「・・・・・・ふふ」

口に手を当てて笑う姿がうれしい。

「不思議な人」

くすくすと笑って自分を見てくれる。

ブラッドに褒められたときのようにうれしい。

「カヅキ、歓迎会の続きをしよう」

その声に目は自分からブラッドに移される。

そのことを残念に思いながら、横に座ってあれこれ差し出す。

一つ一つに不思議そうに首をかしげるこの可愛い生き物。

ずっとこの時間が続けばいいのにな。

「甘くて、おいしい」

 

 

 

そう云って綺麗に笑うから

 

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